レバレッジの高いパーペチュアルマーケットは、必然的に大きなリスクを伴います。特に基礎となるスポット市場のボラティリティが高い時は、いくつかの口座は利益を出して清算する前に、評価額がマイナスになることも考えられます。万が一「元本割れ」の口座が複数発生したら、システム全体の支払能力を担保するために速やかに対応する必要があります。
保険基金
パーペチュアルマーケットのローンチに合わせて、dYdXは元本割れの口座が発生した場合に備えて第一の防御策として保険基金に資金の積み増しを実施することにしています。この基金はレバレッジ解消が一つの口座でも発生する場合に備えるためのものです。
当初の基金への投入資金は250,000ドルの見込みです。
保険基金の口座およびその適用範囲は、公開の監査や検証の対象となります。
保険基金はローンチ時は分散型ではありません。当社dYdXのチームが当基金への入金および出金を直接責任を負うことになっています。将来的に当社は基金の一部の機能を非分散型にする可能性はありますが、当初の最大の目的は元本割れの口座をいかにタイムリーに対応するかという点にあります。
レバレッジ解消
レバレッジ解消は、パーペチュアル・スマートマーケットに付随する機能です。このスマートコントラクトは保険基金が枯渇した場合に元本割れの口座をクローズするための最後の手段です。レバレッジ解消は、他の高レバレッジの先物やパーペチュアル市場の「自動レバレッジ解消」と同じように機能します。つまり、利益が上がっているトレーダーから利益の一部を拠出してもらい、元本割れの口座を相殺するものです。
レバレッジ解消は、保険基金が枯渇した場合のみに使われます。
レバレッジ解消は、いくつかのトレーダーのポジションを自動的に減らすことにより実行されます。利益が多くかつレバレッジが高い口座から順番に利益の一部拠出を受け、そこからの利益を使って元本割れの口座を相殺するものです。
レバレッジ解消は、損失の社会化というしくみに対して、低リスクの取引を行うトレーダーが直面する不安をより軽減する方法として選択されました。
いかなるレバレッジ解消のイベントは、公表され、オンチェーン上で監査が可能です。
レバレッジ解消の事例
前提条件は当初保証金10%、維持保証金7.5%。
トレーダーAが1000 USDCを入金、価格2000 USDCで1BTCのロングポジションを形成。口座残高は、-1000 USDC、+1BTC。長期にわたる激しいティリティの期間に、オンチェーン指標価格は1080 USDCに下落。トレーダーAのポジションは危険になったが、まだ清算できない。価格はさらに急速に下がり、トレーダーAが清算できる前にオンチェーン指標価格は900 USDCに下落。トレーダーAの口座の名目価値は-100 USDCになった。
保険基金は直近の価格変動の影響を受け枯渇していたためレバレッジ解消が作動した。トレーダーBの現在の残高は10000 USDC、-9 BTCで、トレーダーAの取引相手に選択された。これはトレーダーBの利益、レバレッジおよびトレーダーBのショートポジションがトレーダーAのロングポジションと相殺できたため。
トレーダーBはトレーダーAの全残高を引き取る。これでトレーダーAの残高はゼロとなり、トレーダーBの全残高は9000 USDC、-8 BTCになった。トレーダーBのレバレッジ解消による名目上の損失は、指標価格が900 USDCで100 USDCである。トレーダーBの保証金率はレバレッジ解消の結果、23.46%から25%にた上昇した(レバレッジは低下)。